RIZIN.30 浜崎朱加 vs. 藤野恵実
国内チャンピオン同士であり、親友同士の二人による激闘。
藤野選手はパンクラスストロー級(-52.2kg)の王者で、今回は階級を落としての試合。
浜崎選手は「親方」と呼んでいるそう。
浜崎選手はInvicta FCというアメリカの団体で日本人初の世界王者になった事もあり、現RIZINスーパーアトム級王者。
試合前から殴り合いの試合をすると宣言をしていた二人。
女子の殴り合いって想像ができない・・・というか、やはり男子に比べると迫力が足りないというイメージでした。
この試合を見るまでは。
THE 親方
藤野選手とは試合経験があり、浜崎選手の師匠とも呼べる存在の藤井恵さんが心配そうに見つめます。
RIZIN.27で浜崎選手と接戦を繰り広げた浅倉カンナ選手も観戦しています。
第1R開始。
左に周りつつパンチを狙う藤野選手に対して、テーピングが巻いてある左足にローキックをコツコツを当てる浜崎選手。
浜崎選手のローキックに対してカウンターを狙うもなかなか当たりません。
ローキックを当てられ続けながらも、宣言通り殴りにいく藤野選手。
しかし、藤野選手のパンチは避けられ、浜崎選手のパンチは当たるという上手い距離の取り方をされ、パンチを当てることができません。
藤野選手のパンチをバックステップでかわしつつ、強烈なカウンターを当てる浜崎選手。
1R開始早々から藤野選手の左顔面が大きく腫れ上がっています。
徹底的にパンチでの勝負を狙っている藤野選手に対して、それに応えるように浜崎選手も自分からパンチを多く打つようになります。
藤野選手のパンチを距離でかわし、コツコツとパンチを当てていく浜崎選手。
第1R終了。
おそらく藤野選手のパンチはほとんど浜崎選手に当たっていませんでした。
当たっていたとしてもかすった程度。
一方の藤野選手は、ローキックとパンチを多く被弾し、顔面は大きく腫れています。
これが元世界王者の実力か・・・。
第2R開始。
変わらず藤野選手はパンチで攻めます。
対する浜崎選手は1R目と変わり打ち合いに応じます。
バチバチの第2Rが始まりました。
しかしやはりパンチの打ち合いでも、1R目同様に浜崎選手の攻撃は当たり藤野選手の攻撃はかわされる展開。
詰めてくる藤野選手に対して浜崎選手の強烈は右フック!
一瞬膝をついてしまいますがすぐに立ち上がる藤野選手。
蹴りとパンチを織り交ぜつつ、パンチをかわす浜崎選手に対して、徹底的にパンチのみを放つ藤野選手。
藤野選手のフェイントにも少しの反応で対応する浜崎選手。
ここで第2R終了。
第1Rに比べ浜崎選手が打ち合うようになったので、ワンチャン藤野選手のパンチが当たるかなと思いましたが、全然当たっていませんでした。
むしろ、第1Rよりも攻撃を当て、攻撃を避けていたという印象です。
ファイナルR開始前に両選手に消極的な姿勢が見られるとの事で注意が与えられる。
女子でこんな顔になった人見たことないよぉ・・・
傷一つない浜崎選手。
ファイナルR開始。
積極的に前に出てくる浜崎選手。
前には出ますが、打ったらすぐに距離を取る、相手が来たらカウンターを打つ、という完璧な試合運びをします。
パンチを打っても距離でかわされてしまう藤野選手は特攻します!
そして遂に浜崎選手へしっかりとパンチを当てます!ゴンっ!という鈍い音がします。
組み合いになりますが、両者バランスを崩しこけ、またスタンディングの展開に戻ります。
プレッシャーをかける藤野選手が放った右フックが浜崎選手にヒット!
親方のパンチが当たり出します!
クリーンヒットーーーーーーーー!
親方ラーーーーーーーッシュ!!!(パチスロっぽい)
これまでのダメージを取り返すかのように藤野選手のパンチが当たり始めます。
どれも結構な威力に見えます。
試合時間も残りわずか。
両者ぶつかり合います!
パンチを被弾しているのに笑っている浜崎選手。
藤野選手との殴り合いを心の底から楽しんでいるよう。
最後は壮絶な打ち合いで試合終了。
すぐに抱き合う二人。
親友同士の殴り合いが終わりました。
試合結果は、 判定 (3-0)で浜崎選手の勝利。
親方顔面がぁあああ・・・
数分前までバチバチに殴り合ってたようには全く見えない二人。
実力の差は明らかにあったが、どんなに殴られても前に出続け、徹底的に殴り合いにこだわった藤野選手の気持ちの強さと、いい試合をするという二人の覚悟。
この二人でないとできない試合でした。この二人だから出た迫力がありました。
そして試合が終わったらすぐに親友に戻る二人の関係性がとても眩しかったです。
RIZIN.30 第五試合 武田光司 vs. 矢地祐介
日本人ライト級エース決定戦。
武田選手は現DEEPライト級王者。
現修斗チャンピオンの川名選手、現パンクラスチャンピオンの久米選手に勝利し、国内ライト級最強と言われています。
矢地選手はブランクに陥った後、練習環境を大きく変え臨んだRIZIN.29にて、現修斗チャンピオンの川名選手に完封勝利し、「ブランニューやっちくん」の誕生を示しました。
両選手の師匠である、山本KID徳郁選手と宮田和幸選手は2006年に試合をしており、
KID選手が「伝説の4秒KO」で宮田選手に勝った試合が有名です。
そんなKID選手を師匠に持つ矢地選手が開幕に魅せてくれました。
開幕と同時に武田選手へダッシュしそのまま飛び膝蹴り!!!
15年前のあの試合を再び見ているような感覚でした。
開幕早々に飛び膝蹴りをくらった武田選手でしたが、パニックにもならず冷静でした。
前じりじりと出てくる武田選手。
そこへ早々に出ました矢地選手の間接蹴り
RIZIN現ライト級チャンピオンであるホベルトサトシソウザ選手との試合の時にも使っていましたね。
すごく自然に、流れるような動きの中で放っています。
じわじわと圧力をかけてくる武田選手に対して、距離を取りながら打撃をコツコツと当てていく矢地選手。
武田選手がコーナーに押し込みますが、脇を差されて思うような動きができません。
膠着状態が続き、ここでブレイク。
離れた状態からのリスタート。
矢地選手のカーフキック。今試合は蹴りを多用しています。
セコンドからは「ナイスぅナイスぅ〜」とナイスのコンボ。
近距離での殴り合いから、武田選手が組み付きすぐさまジャーマン!
武田選手上のグラウンド状態に入ります。
そしてすぐにアームロック!
組み付きからのジャーマンからのアームロックまでの流れがあまりにスムーズで、武田選手の強さがこの一瞬で感じられます。
和田レフェリーから「ギブアップ?!ギブアップ?!止めるぞ?!」と言われるも、手を振り大丈夫とアピールする矢地選手。
アームロックから何とか脱出しようともがく矢地選手ですが、もがいている中で両足で挟んでいた武田選手の右足を離してしまいます。
フリーになった武田選手の両足の間には矢地選手の頭が。
ここですかさず洗濯バサミをする武田選手!
一瞬の隙も逃しません。
しかし、すぐに矢地選手が手で洗濯バサミを引き剥がします。
両者立ち上がるもすぐにコーナーに押し付ける武田選手。
両者脇を差した状態へ。
セコンドの宮田さんから「顔面気をつけて」という声が聞こえます。
この状態からどうやって顔面蹴るんだよ・・・っと思った次の瞬間!
バチコーーーーーーーーン!!!!!!!!!
見事に矢地選手の膝蹴りが武田選手の顔面にヒット。
宮田さんの言った通りに。
しかし武田選手タフ。全然動じず、削られてる感じも出しません。
何度もジャーマンを狙いますが、防がれます。
ブレイクがかかり、両者離れた位置からのリスタート。
ローキックをコツコツ当てる矢地選手。
武田選手の打撃もよく見切っています。
ここで1R目終了。
アームロックや洗濯バサミなど危ない場面も多かった矢地選手でしたが、冷静に対処し、打撃をしっかりと当てていました。
2R目開始。
ジャブでうまく距離を取り武田選手の距離にしない矢地選手。
半ば強引に前出て組みつく武田選手。
片足を持たれながらも倒されず、飛び膝まで放つ矢地選手。
そして再度、組みついた状態からの膝蹴りー!
武田選手にバックを取られますが、しっかりと体を落として対処しつつも、顔面にパンチを当てる矢地選手
しばらく膠着状態が続きブレイク。ブレイク直後に矢地選手の膝が武田選手の下腹部に当たってしまいます。
あのマッチョマンからの膝が下腹部に・・・。
考えるだけでも血の気が引きます・・・。
立て直して再開。
武田選手のパンチを打ちながら強引に前に出てきてからの組み付き。
矢地選手、コーナーに押し込まれます。
しかしここで、矢地選手が足を掛けテイクダウン!
すぐさま腕十字に移る矢地選手ですが、これはかわされます。
ここで2R目が終了。
このラウンドは完全に矢地選手が武田選手を封じたラウンドでした。
付き合ってください。
ありがとうございます。(?)
ファイナルR。
ジャブで武田選手に入って来させないようにするも、打撃で強引に前に出てきて組みつく武田選手。
組みつくも、またもや矢地選手の膝蹴りがヒット。
武田選手の右目辺りはかなり腫れ上がってます。
膠着状態の後、ブレイク。
離れた位置からのリスタート。
矢地選手の打撃は当が武田選手の打撃は当たらない。
再び組みつく武田選手。
何もさせてもらえずに再びブレイク。
矢地選手の打撃を返す武田選手がここで吠えます。
久米選手との試合の時もファイナルRで打撃を打つたびに吠え、異次元のスタミナを見せ勝利した武田選手。
今回もビーストモードへ突入しました。
「ウウウォイ!!!」
矢地選手も吠え返します!
「ッタァ!!!」
じりじりと圧力をかけコーナーに追い込み組みつく武田選手。
片足を取るもテイクダウンできません。
そしてブレイク。
打撃の応酬になりますが、矢地選手の方が当てていきます。
ここで試合終了。
3-0で矢地選手の判定勝ちとなりました。
前戦の川名戦にひきつづきの完封勝利。
武田選手の持ち味であるレスリング力を完全に封じ、打撃をコツコツを確実に当て続けた危なげない試合でした。
国内最強と言われていた武田選手を完封した矢地選手は、現在間違いなく国内日本人ライト級のトップだと思います。
長いブランクを経て、練習環境を一新し誕生した「ブランニューやっちくん」。
大晦日にチャンピオンであるホベルトサトシソウザ選手とのタイトルマッチ兼リベンジマッチが組まれるかどうか。
時間はまだまだあるし、その資格も矢地選手にはあると思います。
楽しみ。
RIZIN.30 第四試合 佐々木憂流迦 vs. 堀江圭功
佐々木選手は、バンタム級からフェザー級に階級転向してから初の試合。
UFCでは9戦の試合経験があり、戦績は4勝5敗。寝技を得意とする選手。
堀江選手は、RIZIN 27でKO勝利を飾ってからの今回。
堀江選手もUFCでの試合経験があり、戦績は0勝1杯。空手をバックボーンに持つ打撃を得意とする選手。
元UFC参戦経歴のある二人というハイレベルな組み合わせです。
最初の手合わせですが、ほぼパンチでしたね笑
佐々木選手かなり気合が入っているようでした。
かなり近い距離での展開が続きます。
堀江選手のノーモーションでの右ストレート。かなり速いです。
佐々木選手もすぐに右を返します。
組み付きすぐさまバックを取る佐々木選手。流石のうまさです。
クラッチをしてディフェンスを固める堀江選手
しばらくの膠着状態の後、片足を持ち上げる体勢に切り替えテイクダウンを狙う佐々木選手。
しかし、腰の強い堀江選手は倒されず、組み付いている佐々木選手の頭に肘の連打。
その後もバックを取ったりしながら何とか寝技に持ち込みたい佐々木選手ですが、ディフェンス力の高い堀江選手に全て防がれてしまいます。
この後も膠着状態が続き、ブレイク。
お互い離れてからリスタートです。
堀江選手のローキックに足が流れる佐々木選手。
佐々木選手のカーフキックをカットしつつ右のカウンターを放つ堀江選手。
技術の高さが見えます。
ローキックを蹴られると足が流れてしまう佐々木選手。
堀江選手のローキックはかなり重たそうです。
1R目終了。
2R目
フェイントは多用する堀江選手に対してなかなか積極的に動けない佐々木選手。
佐々木選手が打撃を放ってもすぐに打ち返す堀江選手。
再びバックを取られるもしっかりとクラッチをして次の展開へ行かせません。
しばらく打撃の攻防が続きます。
相変わらず堀江選手のローキックに足が流れてしまう佐々木選手。
佐々木選手の蹴りはちょくちょく当たりますが、パンチはうまくかわされてしまいます。
佐々木選手、タックルをしますが切られてしまいます。
流れは堀江選手へ傾いてきました。
次々と堀江選手のパンチを被弾していく佐々木選手。
堀江選手のローキックで足が流れ、佐々木選手のパンチは避けられ、タックルは切られ、堀江選手のパンチを被弾する佐々木選手。
このような流れが多かった2R目でした。完全に堀江選手のペースになっています。
3R目
佐々木選手がタックルに入りますが、腰の強さでびくともしません。
佐々木選手の得意なところで展開させない堀江選手
組み付き続ける佐々木選手に容赦ない肘の連打。
この頭部への肘打ち、気絶するぐらい痛いんじゃないかと思うのですが、よく耐えるなぁと素人目に思ってしまいます・・・。
打ってる方も痛いだろうなぁ・・・。
一度ブレイクがかかり離されますが、すぐにタックルで組みつく佐々木選手。
しかし、やはり何もさせてもらえません。
その後も堀江選手有利の展開が続き試合終了。
3-0の判定で堀江選手の勝利
危なげなく勝った試合だったと思います。
打撃が強い印象が強かった堀江選手でしたが、腰が半端じゃなく強いことも今回印象的でした。
朝倉兄弟とも練習をしている堀江選手ですが、あの腰の強い朝倉兄弟からも堀江選手は腰がめちゃくちゃ強いと言われています。
佐々木選手は今回見た感じ、バンタムよりも動きがよかった気がします。
何度も組み付きバックに回るテクニックはさすがのものでしたが、相手との相性が悪かったかもしれません。
いづれにせよ、佐々木選手のフェザーでの活躍がより一層楽しみになった試合でしたし、堀江選手はフェザー級トップ戦線参加へのインパクトを確実に残せたと試合だったと思います。
RIZI.30 第三試合 太田忍VS久保優太
「レスリング世界選手権優勝」の太田忍VS「元K-1王者」の久保優太の試合
異種格闘技戦として大きな注目を集めました。
太田忍選手は2020年の大晦日に所英男戦でMMAデビューをし、今回が2戦目。
一方の久保選手はMMAの練習を本格的に始めてまだ3ヶ月ほどで今回がMMAデビュー戦。
MMAの経験値に大差ない二人なので勝負論のある試合でした。
太田忍選手の武器はやはり「投げること」。
同じ階級のトップ選手であり、レスリングが得意な扇久保選手とグラップリングのスパーをした際「ここで勝負したら殺されるな」と言わせるほどの組み力。
久保選手の武器は「打つこと」。
K-1時代、王者のまま引退をした久保選手ですが、同じ階級にはもう相手がいないほどの強さでした。
究極の「投」対「打」
そんな試合が遂に始まりました。
眼光鋭い両者
ゴングが鳴り即突っ込んできた太田選手に対して、久保選手の前蹴りがヒット!!!
すぐさまパンチで仕留めにいく久保選手
しかし、仕留めきれず太田選手に組みつかれてしまいます
太田選手は一度組んでしまえば確実にテイクダウンを取る力を持っていますし、押さえ込み続ける力もあるはずなので、ラウンドが終わるまで太田選手の一方的な展開になる、とこの瞬間思いました。
しかし、久保選手はグラウンド状態でのディフェンスがとてもうまく、太田選手の攻撃をクリーンヒットさせません。
太田選手がパウンドを放つ隙を突いての蹴り上げ!
久保選手のディフェンス力により、クリーンヒットこそもらいませんでしたが、押さえ込まれながらコツコツと打撃を被弾し続ける久保選手。
ラウンドが変わり再びスタンディングからのスタート。
久保選手はここで攻めていきたいところですが、距離を詰めた瞬間に再び太田選手にテイクダウンされてしまいます。
1ラウンド目と同じ展開へ。
相変わらず久保選手のディフェンスはうまかったですが、グラウンド状態からコツコツと当て続けられるパンチで出血が見られるようになってきました。
途中で肩固めで極められそうになる場面も
2ラウンド目も太田選手が漬け続け終了。
久保選手の奥さん、サラさんも心配そうに試合を見守ります。
自分の旦那が一方的に攻め続けられる姿を見るのはかなりきついでしょうね・・・。
第3ラウンドに入り、久保選手の前蹴り以来のスタンディングでの打撃が出ます。
遠い距離からのローキック。
近い距離になってしまうとどうしてもタックルが入りやすくなってしまうため、久保選手はこれをコツコツ当て続けたかったですね。
一瞬膠着した瞬間に太田選手のタックル
テイクダウンを取られてしまいます。
一度ブレイクでスタンディングに戻るも、近い距離で攻めようとする久保選手に太田選手のタックルがすぐに決まってしまい、再びテイクダウン。
1ラウンド目から終始同じ展開で試合終了。
判定3-0で太田選手の勝利
今回の試合は太田選手の強さというよりは、久保選手のディフェンス力が印象に残った試合でした。
MMAを始めて3ヶ月ほどの選手が、慣れないグラウンドでの攻防でクリーンヒットをさせないディフェンスを終始していた。そんな事が強く印象に残りました。
太田選手はこれから自分の適正階級であるバンタム級にて、猛者達をバンバンとテイクダウンしていく姿が想像できます。
テイクダウンからの打撃なり極め技なりを磨いて行くと、とんでもない化け方をするのではないでしょうか。
久保選手はMMAでの打撃の距離感であったり、テイクダウンディフェンスを磨くととんでもない化け方をすると思いました。
それぞれの世界でトップを取った選手が、今後RIZINで活躍していく姿を楽しみにしています。
RIZIN.30 第二試合 昇侍VS鈴木千裕
DREAMにも出場経験のある38歳のベテラン昇侍選手と、キックボクシング現役王者で総合格闘技の経験もある22歳の若き侍、鈴木選手との試合。
昇侍選手といえば「秒殺侍」の異名を持つ通り、あの山本KID選手がやった「4秒KO」を超える「3秒KO」記録を持つストライカーの選手として有名。
一方の鈴木選手は、キックボクシングでの実績に目が行きがちだが、実は2016年にRIZINが開催したアマチュアの大会で優勝しており、その後パンクラスで7試合しているキックボクシングとMMAの「二刀流」の選手。
そんなストライカー同士の試合。
今回66kgでの試合だったが、昇侍選手はここ最近バンタム級(61.2kg以下)での試合が多く、普段65kgで試合をしている鈴木選手がウエイトの面で有利との見方がありました。
勝敗予想でも鈴木選手有利の声が多く、筆者の勝敗予想も鈴木選手のKO勝利でした。
試合後、昇侍選手自身もご自身のYouTubeで「最初見た時絶対負けるじゃんと思った」と言っていました笑
向き合う両者
こうやってみると結構な体格差があります。
試合は開始早々、鈴木選手が攻め込む
鈴木選手の大振りのパンチを次々とバックステップでかわす昇侍選手。
コーナーに追い込む鈴木選手。
すぐに試合は大きく動きます。
連続でパンチを出してくる相手に対して、昇侍選手の右のカウンターがヒット
体勢を崩す鈴木選手に左もヒット
崩れ落ちる鈴木選手に追い討ちのグラウンドパンチ連打
レフェリーストップにより1R20秒TKO勝利。
勝利後の昇侍選手の雄叫び
普段温厚で、おちゃらけたイメージが強い昇侍選手とのギャップにやられました。
マジかっけーっす、兄貴。
まさしく「秒殺侍」の異名に相応しい勝利。
勢いでガンガン前に来る鈴木選手に対し、冷静にバックステップで打撃をかわしてからのカウンター。さすがのベテラン。
鈴木選手は打撃もウエイトも相手より自信があったのと、初のRIZIN出場という事で速攻でぶっ倒して盛り上げてやろう!という気迫を感じました。
しかし、結果的にその気迫が前に出過ぎてしまった事で、大振りの打撃ばかりになり、隙を作ってしまい敗因となりました。
まだまだ若いし、練習と経験をたくさん積んでまたRIZINで見たい。
「ほんとに悔し涙を流す事が多くて、何度も挑戦しても勝てなかったこの大舞台のリングで、ほんとに諦めずにずっと苦しいことを乗り越えて、頑張ってきたから今日勝つことができました」
この言葉に泣けた・・・。
そして、
「歳は取っていくものですが、歳取ることはカッコ悪いことじゃないです!!!」
筆者は昇侍選手と歳があまり変わらないこともあり、この言葉にとてもパワーをもらいました
昇侍選手、ほんとにカッコよかった。
RIZIN.30 第一試合 ぱんちゃん瑠奈VS百花
RIZIN初となる女子キックの試合。
ぱんちゃん選手はKNOCK OUT -BLACKという団体でチャンピオンであり、11試合全勝という女子キックのトップにいる選手。
対する百花選手はミネルヴァという団体で21年1月までチャンピオンだった選手。
立場的にはぱんちゃん選手の方が格上だが、キャリアは11戦のぱんちゃん選手に対して、百花選手は40戦と大きく差がある。
「女子キックはつまらない」と言われている中で、国内最大の格闘技団体であるRIZINで初めての女子キックの試合が組まれたということで、両選手女子キックの魅力を伝えたいという想いが会見の時から強く出ていました。
その強い想いが試合にも出ており、リーチで有利なぱんちゃん選手に対してカウンターのパンチを繰り出す百花選手。
被弾しながらも撃ち続けるカウンターパンチは何度もぱんちゃん選手に当たっており、
リーチの有利さを潰していました。
一方、ぱんちゃん選手は得意の蹴りを遠い距離から的確に当て、百花選手を攻めづらくする。
途中、ぱんちゃん選手がカーフキックを放つ場面も。
両者一歩も引かずバチバチの攻防。
序盤はぱんちゃん選手のパンチを避けまくっていた百花選手でしたが、
後半になるにつれ徐々にパンチを被弾していきます。
プレッシャーをかけられ下がる百花選手に、終始前に出続けたぱんちゃん選手。
判定3−0でぱんちゃん選手の勝利となりました。
勝利を告げられるも曇った表情のぱんちゃん選手。
「倒せず、申し訳ないです」と、期待されていたような試合ができなかった事に悔しさを滲ませていました。
個人的には、初めて女子キックという試合を見て女子キックというものの印象が変わりました。
見る前は攻防の少ない、スピードの遅い退屈な試合、というようなイメージだったのですが、両者の試合は手数がとても多く、スピード感のある試合で、KOこそなかったものの見応えのある試合でした。
また、ぱんちゃん選手は華があるので格闘技や女子キックに興味がない層も取り込んでいきそうですね。
正直、ぱんちゃん選手可愛くて好きです(笑)
勝利者マイクでは、
「華だけじゃなく、しっかり実力のある選手としてまた迎えてもらえるように」
と語っていたように、本人は今の立場に納得しておらずもっと上を目指すんだという気持ちが伝わってきました。
これから楽しみな選手です。
RIZIN.30の感想
2021年9月9月19日 さいたまスーパーアリーナで行われたRIZIN.30。
端的に言って神興行でしたね。
朝倉未来や堀口恭二、那須川天心などスーパースターの出ない大会ではありましたが、
その内容は全ての試合が濃いものでした。
以下、試合概要を簡単に説明していきます。
○第一試合 (WIN)ぱんちゃん璃奈 vs. 百花(LOSE)3R 判定 (3-0)
RIZIN初となる女子キックの試合でした。
キックボクシング無敗のぱんちゃん選手がRIZINの舞台でも勝利を重ねました。
両選手の女子キックを広めたいという気持ちがとても前面に出ており見ていて気持ちのいい試合でした。
1R 0分20秒 TKO(レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
「秒殺侍」という異名を持つ昇侍選手がその名の通り1R20秒でのTKO勝利を飾った試合でした。
現在38歳の昇侍選手と、キックボクシングで10勝1敗で総合格闘技の経験もあり、勢いのある22歳の若き侍である鈴木選手。
試合に勝利した昇侍選手の試合後マイクに感動したおじさん達は多かったのではないでしょうか。(筆者も感動して泣きました)
○第三試合(WIN)太田忍 vs. 久保優太(LOSE)3R 判定 (3-0)
今回かなり注目されていた試合でした。
レスリング世界選手権優勝の太田選手と、元K-1王者の久保優太選手。
「投げ」の太田選手と「打撃」の久保選手、
どちらもそれぞれの世界でトップを取ったもの同士の試合であり、
久保選手の総合格闘技デビュー戦でもありました。
両選手ともとんでもないポテンシャルを見せつけてくれた試合でした。
○第四試合(LOSE)佐々木憂流迦 vs. 堀江圭功(WIN)3R 判定 (0-3)
元々RIZINではバンタム級(61.2kg以下)で戦っていた佐々木選手がフェザー級(65.8kg以下)に階級を上げてからの初めての試合でした。
対する堀江選手は、世界最高峰の総合格闘技団体UFCで試合経験のある選手。
階級変更後初の試合が、実績のある堀江選手との試合という事で注目された試合でした。
○第五試合(LOSE)武田光司 vs. 矢地祐介(WIN)3R 判定 (0-3)
武田選手は現DEEPライト級チャンピオンであり、現修斗チャンピオンの川名選手、現パンクラスチャンピオンの久米選手に勝利し、国内ライト級最強と言われています。
対する矢地選手はブランクに陥った後、練習環境を大きく変え臨んだRIZIN.29にて、現修斗チャンピオンの川名選手に完封勝利し、「ブランニューやっちくん」として挑みました。
両選手の師匠である、山本KID徳郁選手と宮田和幸選手は2006年に試合をしており、
KID選手が「伝説の4秒KO」で宮田選手に勝った試合が有名です。
そんなKID選手を師匠に持つ矢地選手が開幕に魅せてくれました。
○第六試合(WIN)浜崎朱加 vs. 藤野恵実(LOSE)3R 判定 (3-0)
女子チャンピオン同士の戦い。
両選手はプライベートでも仲が良く、練習も一緒にするほどの関係性。
そんな二人が壮絶な殴り合いをしてくれました。
浜崎選手39歳、藤野選手40歳とはとても思えないバッチバチの試合でした。
女子の試合は〜とか、年齢が〜なんて事を言わせないような熱い熱い試合でした。
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ここからはバンタム級トーナメント2回戦
1R 2分27秒 TKO(レフェリーストップ:スタンドパンチ)
下馬評では元谷選手圧倒的有利な試合。瀧澤選手が大番狂わせを起こしました。
個人的には元谷選手を応援していた(PPVの応援コードも元谷選手で購入しました)
ので、元谷選手の敗戦は精神的にかなりキマシタ・・・。
○第八試合(WIN)扇久保博正 vs. 大塚隆史(LOSE)3R 判定 (3-0)
34歳ベテラン同士の戦い。
お互いレスリングを得意とする選手で、打撃戦のような派手な試合ではなく、
塩試合(派手な攻防がない試合)と言われていた試合でしたが、「塩対塩は案外、糖」というベテランらしい試合の中にも熱い攻防のある試合でした。
○第九試合(WIN)井上直樹 vs. 金太郎(LOSE)3R 判定 (3-0)
今トーナメント優勝候補の一人である井上選手と、地下格闘技から這い上がってきた金太郎選手との試合。
UFCに日本人最年少で出場した井上選手とパンクラス3位の金太郎選手とでは、実績に余りにも差がありましたが、金太郎選手の気合がその差を埋めたような試合でした。
今大会一番の盛り上がりを見せた試合でした。
○第十試合(WIN)朝倉海 vs. アラン“ヒロ”ヤマニハ(LOSE)3R 判定 (3-0)
もう一人の優勝候補である前バンタム級チャンピオンの朝倉海選手と、パンクラス1位の現在波に乗っているボンサイ柔術のヤマニハ選手との試合。
お互い打撃が得意な選手ではあるが、スピードで大きく上回っていて打撃力も強い海選手が圧倒すると予想していた試合でした。
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以上、各試合の概要でした。
次の記事からは各試合の見所や感想などを書いていきます。